TM NETWORK「Get Wild」(1987年)/プロの歌詞解説

TM NETWORK「Get Wild」画像1

TM NETWORK「Get Wild」は、1980年代のシティポップ/アニメ音楽の枠を超えて、今なお多くのリスナーに支持され続けている代表的な楽曲です。

この作品は、疾走感のあるサウンドと印象的なメロディだけでなく、その背後にある繊細な感情表現によっても高く評価されています。

特に小室みつ子さんの歌詞には、都会の孤独や不安と向き合いながらも、他者とのつながりや「守るべきもの」を見出すことで前へ進もうとする意志が描かれており、単なるアクション的な世界観を超えた深いテーマ性が込められています。

本記事では、その歌詞に込められた主題や象徴表現を整理しながら「Get Wild」がなぜ時代を越えて響き続けるのかを勝手に解説・考察してゆきます。

TM NETWORK「Get Wild」歌詞解説・考察 – 作詞 by 小室みつ子

主題:孤独の中で共感と守るものが力に変わる再生の物語

TM NETWORK「Get Wild」の主題は、孤独と不安に満ちた都市の中で、人は本来ひとりでは抱えきれない痛みや夢を抱えながらも、他者への共感や“守りたいもの”の存在を通して、自分の弱さを受け入れつつ前へ進む力を得るという点にあります。

この楽曲は単なる強さや自由の肯定ではなく、孤独・恐れ・喪失感といった現実を前提にしながら、それでも誰かの痛みや夢とつながることで、自分自身の希望や意志を取り戻していく再生の過程を描いています。

都会における孤独と不安

TM NETWORK「Get Wild」クリエイト画像1

冒頭のAメロでは「暗闇走りぬける」というフレーズが示すように、出口の見えない夜の中を駆け抜けていくような、切迫感とスピード感が強く描かれています。

2コーラス目のAメロでは「冷たい夜空をステージにして」という表現によって、都市の夜景そのものが舞台へと変換され、現実と幻想が重なり合うようなスケールの大きなイメージが提示されます。

しかし、その表層的な活気とは対照的に、Aメロのフレーズの内面には強い不安や恐れが潜んでいます。

刺激に満ちた日常に身を置きながらも本質的な安心は得られず「明日におびえる」「哀しくおどける」といった感覚が浮かび上がることで、都市生活における孤独がより鮮明に表現されています。

他者への共感が生み出すBメロでの転換

Bメロでは「誰かの痛み(It’s your pain)」や「誰かの夢(It’s your dream)」といった言葉を通して、自己完結ではない価値観が提示されます。

他者の感情に寄り添うことが、自分自身の不安や恐れを超える力へと変わっていくという視点が示されており、ここが楽曲の重要な転換点となっています。

孤独に閉じていた視点が、誰かのために「生きられるなら」「愛せるのなら」と他者へと開かれていくことで、「何もこわくはない」「きっと強くなれる」といった感覚が生まれ、人は前へ進むための動機を得ることができます。

TM NETWORK「Get Wild」サビで描かれる意味

決意と再生のメッセージ

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サビでは「ひとりでは解けない愛のパズル」や「守れるものを見つける」といった表現を通して、人間の不完全さと同時に、その中で生まれる主体性が描かれています。

人は完全に自立して生きることはできませんが、それでも自分にしか守れないものを見つけたとき、確かな強さを持つことができるというメッセージが込められています。

この部分は、弱さを否定するのではなく、それを抱えながら進むことそのものを肯定しています。

二つのフレーズが示す生き方

サビで対になっている「Get wild and tough」と「Get chance and luck」の二つのフレーズは「内面の強さの回復」と「外の世界への積極的な関与」という二つの方向性を同時に示しています。

自分の感情や弱さを受け入れながらも、同時に現実世界へ踏み出し、チャンスや運命を自分の手でつかみ取っていくという生き方です。

この構造が「Get Wild」が単なる疾走感のある楽曲ではなく、都市に生きる人間の再生の物語として響く理由でもあります。

「Get Wild」が示す本質

この楽曲の本質は、孤独を完全に克服することではなく、孤独を抱えたまま他者とつながり、自らの意志で未来を選び取っていく点にあります。

都市という冷たい現実の中でも、人は誰かの存在や想いに支えられることで前に進み、失いかけた夢や希望をもう一度見出すことができるのです。


TM NETWORK「Get Wild」楽曲データ

1987年04月08日発売されたTM NETWORK「Get Wild」は、アニメ「シティーハンター」エンディングテーマ曲です。

アニメの物語の余韻を締めくくる象徴的な楽曲として長年親しまれてきた「Get Wild」は、ライブでは、ほぼ毎回演奏されるTM NETWORKの代表曲です。

2017年にギネス世界記録に認定

2017年には「Get Wild」だけを36バージョンを収録したGET WILD 30周年記念アルバム『GET WILD SONG MAFIA』をリリースし、「トップ100にチャートインしたCDアルバムに収録された同じ曲のバージョン/リミックスの最多数」でギネス世界記録に認定されました。

TM NETWORK「GET WILD 30周年記念アルバム」はシンセサイザーの歴史でもある
GET WILDのみ33曲を収録したアルバム1987年04月08日にリリースされたTM NETWORKの楽曲「GET WILD」が30周年を迎え、その記念として2017年04月05日に「GET WILD」のみ33曲を収録したCDが発売です。...
<楽曲情報>
楽曲名:Get Wild
アーティスト:TM NETWORK
作詞:小室みつ子
作曲:小室哲哉
編曲:小室哲哉
リリース年:1987年
タイアップ:アニメ「シティーハンター」エンディングテーマ曲

2023年に記念日認定「Get Wildの日」

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1987年04月08日に「Get Wild」がリリースされたことに由来し、2023年に日本記念日協会によって正式に04月08日は「Get Wildの日」と認定されました。楽曲名が記念日となるのは邦楽としては初となります。

2024年「Get Wild Continual」

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Netflix映画『シティーハンター』のエンディングテーマとして新たに制作された「Get Wild Continual」は、名曲「Get Wild」を現代的なサウンドへとアップデートした2024年版です。

原曲の持つ疾走感や都会的な雰囲気を大切にしながらも、最新の音像やアレンジによって、より洗練された楽曲へと進化しました。

タイトルに加えられた“Continual(継続的な)”という言葉には、作詞家の小室みつ子によって名付けられたものです。

過去と現在をつなぎながら、新たな時代へと歩み続ける象徴的な一曲と「Get Wild Continual」はなっています。

シティーハンター Netflix実写版 - 視聴メモ(作品評価 A)
Netflixで配信された映画「シティーハンター」の視聴メモ & レビューのページです。「シティーハンター Netflix実写版」は2024年の映画です。監督は佐藤祐市。主要キャストは鈴木亮平、森田望智、木村文乃です。
Get Wildが描くのは、孤独を消し去ることでも、単純な強さを手に入れることでもなく、不安や弱さを抱えたまま、それでも誰かの存在や想いに支えられて前へ進んでいくという姿です。

都市の喧騒の中で揺れ動く感情は、決して特別なものではなく、誰もが日常の中で抱えている普遍的なものとして描かれています。その中で「守るもの」を見つけることが、生きる力へと変わっていく過程こそが、この楽曲の核心です。

だからこそ本作は、単なる80年代のヒット曲にとどまらず、時代を越えて“再生の物語”として聴き手の心に残り続けているのです。


記事更新日:2026年04月21日 by KSTY