現代の女子高生が1945年の戦時中の日本にタイムスリップする汐見夏衛さん原作の映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」を終戦記念日の2024年08月15日に視聴しました。
現代の女子高生 百合が1945年の戦時中の日本にタイムスリップして、特攻隊員の青年 彰と出会う物語です。
累計興行収入40億円を突破した映画で、Amazonプライムビデオでも猛プッシュされていた作品なので、終戦記念日のある08月に視聴した人も多いのではないでしょうか。
あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のストーリー&主要キャスト
映画のストーリー
<映画のキャッチコピー>
目が覚めると、そこは1945年の日本、初めて愛した人は、特攻隊員でした −−−
時を超えた愛に、あなたもきっと涙する
毎日の生活にイライラしている高校生の百合(福原遥)は進路をめぐって母親(中嶋朋子)と喧嘩となり、家を飛び出します。
そして近所の防空壕跡へ逃げ込み、そこで一夜を過ごした後、目覚めると戦時中の1945年の06月の日本にいることに気づきます。
百合は偶然通りかかった彰(水上恒司)に助けられ、軍の指定食堂に連れていかれ、彼の仲間や女将のツル(松坂慶子)、勤労学生の千代(出口夏希)などに出会い交流を深めてゆきます。
タイムスリップした1945年で、日々を過ごすなかで、何度も彰に助けられ、彼の誠実さや優しさに惹かれてゆきますが、彰は特攻隊員であり、命懸けの戦地への出撃を控えていることが明らかになります。
主要キャスト
画像出典:「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 公式サイト」
映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の主演は、加納百合 役の福原 遥さんと、佐久間彰 役の水上恒司さんです。
脇を固めるのは中嶋朋子さんと松坂慶子の大物女優で、主題歌は福山雅治さんの「想望」です。
よく存じ上げないのですが、勤労学生の千代役を演じた出口夏希さんが、暗い時代のなかで癒やしの光を見せていたので、今後女優として飛躍する気がします。
尚、第47回 日本アカデミー賞(2024年)に「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」は最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀主演男優賞、最優秀助演男優賞、最優秀助演女優賞、最優秀録音賞、最優秀編集賞にノミネートされていて、福原 遥さんは新人俳優賞を受賞しています。
タイトル:あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。
原作:汐見夏衛
公開:2023年
時間:128分
監督・脚本:成田洋一
出演:福原 遥, 水上恒司, 中嶋朋子, 松坂慶子, 出口夏希
主題歌:福山雅治「想望」
視聴日:2023年08月15日
作品評価:C+
あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。の感想&レビュー – 作品評価 C+
恋愛感情を持つのが速すぎる
画像出典:「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 公式サイト」
戦争映画たくさん視聴している人と、そうでない人とで評価が大きくわかれるのが映画というのが「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」を視聴した率直な感想です。
映画版では百合は中学生から高校生に設定が変更されていることもあり、恋愛映画の面を強く出したかったのだと思いますが、タイムスリップしてから1ヶ月あるかないかくらいの期間で、「永遠の愛」的な恋愛感情が生まれるのは、いくらなんでも速すぎます。
キャッチコピーにある「初めての愛」というより、今後、他の誰かを愛することができないようなラブストーリーとして見せたかったのでしょうが、明らかに恋愛感情を持つ過程などが薄っぺらいです。
また手紙か・・・
画像出典:「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 公式サイト」
彰の特攻の日に彼からの手紙を百合は偶然見つけてしまいますが、正直、わたしのなかでは、ここで「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」はゲームセットです。
「弥生、三月-君を愛した30年-」の視聴メモのときに「亡くなった友人であったり、恋人からの残されたメッセージをきっかけに動き出す物語のパターンは「君の膵臓を食べたい」や「四月は君の嘘」で充分」と書きましたが、このパターンは本当にお腹いっぱいです。
手紙の内容がわかるのは百合が現代に帰ってからですが、「また手紙か・・・」という感じで、少し白けてしまったというのが正直なところです。
強いメッセージ性や文学性はなかった
この「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」を大絶賛している人には申し訳ありませんが、戦争時代を舞台にした作品の持つ、特有の強いメッセージ性や文学性を作品からは感じることができませんでした。
戦時中の日本を描いた映画を見慣れている人だと、やはり全体的に薄っぺらさが気になったのではないでしょうか?
現代人が戦時中の日本にタイムスリップする作品で思い出したのが、森山未来さん主演の「僕たちの戦争(2006年)」です。
森山未來さんが一人二役をこなした「僕たちの戦争」のラストの以下のセリフはインパクトが強くて、作品を視聴したのは、かなり大昔ですが、今でも覚えています。
もし帰れたら教えてやるよ
60年前の戦争中のみんなは俺たちと何も変わらねえんだよ
いい奴もいれば悪い奴もいて
笑って、怒って、泣いて、信じて、怯えて、悩んで、誰かを好きになって
過剰な期待をしてしまった
家族が戦時中の日本にタイムスリップする山田太一さん原作の「終わりに見た街」が、2024年09月に放映されますが、2005年版(だったかな?)を見終わった後に、いろいろと考えさせられ、今でもラストの謎は解けていません。
過去に視聴した「僕たちの戦争」にしても「終りに見た街」にしても、戦時中の日本にタイムスリップする作品は、過去のことだけでなく、自分の生きている現代や未来のことなどいろいろと考えさせられたこともありました。
そんなこともあり「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」にも期待していましたが、はっきり書けば過剰な期待をしてしまった作品でした。
戦争の新しい伝え方
画像出典:「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 公式サイト」
終戦記念日前後に「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」を視聴した人が激増したと思いますが、今までに戦争を描いた作品をたくさん視聴した人の評価がレビューサイトなどでは入ります。
戦時中の生々しさもなければ、何のひねりもないストーリーも含めて、戦争映画の観点だと薄っぺらさに気づきますので、当然、作品評価が落ちることが予想することができます。
それでは、なぜ、そのような作品が授賞はしませんでしたが「日本アカデミー賞」の多くの部門にノミネートされたのでしょうか?
日本アカデミー賞に大した価値なんてないという声は置いておいて、興行収入のよさも考慮されたと思いますが「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の「これからの若い世代への戦争の新しい伝え方」が評価されたのではないかと思います。
過去の戦争を題材にした映画は残虐であったり、悲しくてツラくなるシーンが多いので、きっと中学生のときに学校で見せられたアニメ映画「火垂るの墓」がトラウマとなり、それ以来、戦時中を描いた作品は避けてきた人もいるはずです。
その点では「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」は、舞台は戦時中ではありますが、残虐シーンはなく、10代をターゲットにした恋愛映画ですので、視聴の際にトラウマみたいなことを心配する必要はないです。
「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」はAmazonプライム・ビデオで視聴することができます。この記事を書いている時点ではプライム会員の無料特典となっていました。
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記事公開日:2024年08月19日 by KSTY